Cafe de Kurie

主にクルマ関係、オーディオ、ネコチャン

手塚治虫「七色いんこ」読了

手塚治虫七色いんこ」読了。
同じストーリー物ではあるが、ブラックジャックとは全く異なる味わいである。
ブラックジャックはストーリー物として本当にウエルメイドな作品である。全ての話が1話毎にきちんと起承転結まとまっている。
対して七色いんこはかなり何でもありだ。話にオチが無くたって良い。初回の導入と最終話だけストーリー物としての形をしっかり成していたが、その他は本当に形無くくだけている。登場人物の立ち居振る舞いだけに筋が通っている感じ。ブラックジャックと同じ事はしたくなかったんだろうなあ、きっと。

七色いんこだって、ストーリー最終回の要素を一度に流さずに各話に散りばめて王道的に進めるやり方もあったし、そうすればストーリーテリング物としての一般論的完成度は上がった筈だと思う。けれどもそれはブラックジャックでやっているのだ。
茶店で同じテーブルで話する刑事と泥棒の日常描写の方がストーリーそのものより光っていたりするのがこの作品の良さだ。

キャラクターの立ち居振る舞いのノリに付いてこれるかでこの作品の評価が分かれる。
ちなみに妻は手塚作品女性キャラで千里刑事が一番だという。次点が和登さん。分かりみが深い。どちらも自分の意志でどんどん動き回るキャラクター。それに和登さんパイオニアだもんね(何の)